⑨知ったかぶれるマイナス金利の解説
連日ニュースで聞く「マイナス金利」という言葉。日本の政策だとは分かりますが、頭や心で理解するのは本当に難しいお話ですよね。
マイナス金利って、たとえば、私がパチンコに行こうとしたら、「お金をあげるから俺から金借りてくれない?」って友達に言われるということですよね。私に、こんな気前のいい友達がいたら、ただのおひとよしか、逆に裏があるのではないかと疑ってしまいます。だからニュースを見ていても戸惑って、内容が入ってこないです。
ちょっと、景気のしくみ解説をします。日本は20年デフレが続いています。ここではデフレとは不景気であることと理解しましょう。そこで登場する『金融政策』は、金利の上げ下げを操作して景気を動かすことを言います。
簡単に言うと、日銀総裁を含むたった9人で日本の金利を決めています。金利が下がると景気は上向き(インフレ傾向)、金利を上げると景気が下向き(デフレ傾向)になるという図式です。つまり日本の景気はこの9人が操作しているのです。
日本の経済を支えているのは、主に国民の消費です。でも衣食や家電などは、必需品なので、景気が悪いから買わないということは出来ません。つまり景気の良し悪しは国民の消費数に大きくは影響しません。
じゃあ、あの9人は、「金利操作してなにをしたいの?」って言うと「企業に設備投資してほしい」のです。
高度成長時代日本の企業はどんどん設備投資してがんばったおかげで、今のようなライフラインが出来上がり、景気もずっと上向いていました。そのころは当たり前のように国も日銀も社長たちも設備投資なくして企業はないと考えられた時代でした。
しかし、デフレの時代への代わり端、それまで設備投資してきた企業が一番苦しい目にあっているのを目の当たりにしてきた社長たちは、設備投資の手を緩めました。
その裏には設備投資をせずに苦しんだ企業も同じくらいかそれ以上にいたのでしょうが、投資してきた企業のつぶれ方は派手で目立ったのでしょう!
ポイントは、企業が設備投資すれば、その機械等で、向う○○年、生産、消費、雇用が計算できるので、景気は上向くというのが通説です。また、設備投資なしには発展も遅れるということも通説です。
だから、より安全に企業が成り立つように1998年に9人は「社長さん、金利0で貸してあげるから、設備投資しなよ!」って上から目線で言って始まったのがゼロ金利政策です。
当然9人は、金利ゼロにしたら、設備投資に失敗しても、在庫を設備ごと売り切れば、会社に打撃はないので、どんどん設備投資するだろうと思っていたのですが、企業は一向に設備を新しくしない。待てど暮らせど、15年以上不景気が続いてしまいました。
しびれを切らして9人は賭けに出ました。量的緩和です。つまり「日本に金をたくさん作っちゃえ。」「金があるのが分かれば、使って設備投資するでしょ!」とやってみました。すると、一過性の投資などでお金は動いて、景気は上向いたように見えましたが、生産や消費を生むような企業の設備投資は相変わらず行われず、借金だけ膨らんだのです。つまり、企業に設備投資させたいという賭けには敗れてしまったのです。
これだけやっても、時間をかけて待っても、設備投資しない企業に、設備投資させる方法は皆さんどうすればいいと思いますか?
9人は、「少し金あげるから(金利)、俺から金借りてパチンコ(設備投資)行ってきてよ!」って言うしかなかったと思います。これが「マイナス金利」の意義です。
だからこそ「マイナス金利政策」を含む金融政策の未来には、大方の予想を裏切って、大成功する方に期待を込めたいものです!
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