28.貧しい家庭の子供達
先日、商社マンの友人とお話した時、「将来、貧困で困ってしまう罪のない子供たちの今後の生活が、心配で救ってあげたい。」というお話が出ました。特に商社マンとして海外を飛び回り、貧しい国に施設を作ってきた彼は、ここ5年の中国の急激な発展を真横に感じ、日本の衰退ぶりを懸念している様子でした。
あろうことか、普段家計の相談を受けている私は、ご意見に同意できなくて悲しくなりました。
カウンセリングの先生や、「いのちの電話」などでボランティア活動している方なら同意できない悲しみを、すぐにお気づきと思いますが、私なりにご説明致します。
「救済」は寄付やボランティア団体や法人を作って、「このようにやろう!」という所までは非常に簡単です。また、それをまとめて活動することもさほど難しくありません。
現場活動で直面した「たわいもない問題点」を解決することがウルトラ級に至難の極みなのです。だから多くの団体は、「活動を続ける」止まりで何十年と過ごしてしまうのです。
「たわいもない問題点」はいくつもあり、しかも複雑に絡み合っています。すべてを紐解きながら解説すると書ききれなくなるので、今回は1例で簡略化します。
本当に救いたい人に手が届きにくいという例。
8対2の法則があると仮定し、四つの仮説を掛け合わせます。※解説上の仮数字を設定する為。
①救済が必要な人2割 救済が必要ない人8割と仮定。
②救済の声に耳を傾ける人2割 反応しない人8割と仮定。
③救済の声と目的がマッチしている人2割 目的が違う人8割と仮定。
④①から③の場合、救済対象者は、全体の0.8%となる。(20%×20%×20%)
これを掛け合わせると、このような問題に直面します。
「救済が必要な人が日本に2割いる場合、救済できる対象者はそもそも0.8%しかいない。」
具体的に「子供の貧困救済」をテーマに置き換えると、
「日本の救済が必要な貧困に苦しむ子供達が全体の2割いるとして※1、救うために、母子家庭を中心に家計相談を行いました。しかし、貧困層の8割の人は、親が貧困の原因の根源を断つことを何らかの理由で嫌がります。そして、その子供たち本人も「根源を断つ」ことに困惑します。そのような人に使う時間が全体の8割となります。また、活動を続けると、「条件に合えば恵んでもらえる」という観点から相談に来る輩※2が増えてきます。その者たちを相手にするのが活動の中心になるのです。」
※1、実際はもっと少ない。※2計算上全体の2割となります。
という言い方になります。
活動団体構成員300名 役員5名くらいの1団体が救済活動をすると、このような問題がいくつも絡み合います。(構成員のやる気や心の問題や、活動費、男女問題なども含みます。)
おそらくすべてを紐解くには、私の計算では少なくとも300時間はかかるでしょう。その時間をかけられる団体は、一部の歴史ある宗教団体以外は皆無といえます。
だから、多くの団体は、救いたい人以外を一生懸命救済している。それでも救いたい人が何年かに1回救済できたりするので、喜びをもって活動を続けているのです。
私が会社で「子供の貧困救済」の相談をうけた時は、団体のしがらみがないので、このように対処しています。
「生物学上、子供が大きくなった時、日本が貧しくなっても、幸せに暮らせる適応能力を持っています。親の幸せの価値観はあくまでもその時代のものです。」
そういって、食器棚のところに行き、こう言います。
どの家庭にもある「ダイソーやイケヤで買ったお皿は全て捨ててみてください。
夫婦共働きで、毎朝忙しく時間が取れなくて、パンと目玉焼きと牛乳を飲ませるだけでも、
せめて結婚式の引き出物でもらったノリタケやロイヤルコペンハーゲンの大きなお皿やバカラのグラスで普段から食べさせてあげてください。余裕がある家庭であれば、もっと価値のある食器を季節ごとに使わせてセンスを研いてあげてください。
そんな積み重ねが、どんな時代にも対応できる『その子の品』を育みます。」
この言葉に何のアクションも起こさない親は2割以上います。
だからやはり、「救えない人は救えない。」という言葉が私からは出てしまいます。
さらに、「救えない人は救えない。」と言わずに我慢してストレスを抱えているカウンセラーの人を解放してあげたい気持ちの方が私には強いです。
私が子供たちにできる事:子供たちの進化と適応力を信じ、見守り、時に先人として『力』を研くヒントを与える事。
品の高い日本の子供たちの未来は明るい!!
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